2012/09/17

オリンピック雑感①

オリンピックについて、諸々思うところがあったのでその備忘録です。
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■私にとって「オリンピックを生で見る」というのは実は長野五輪以来、十数年来の願望で、開会式は毎回最初から最後まで見ている。とは言え私が生きている間に日本で再度オリンピックが開催される見込みは(この分だと)あまり高くなさそうで、かつ私がその時見に行ける状況にあるとも限らないため、半ばあきらめ気味であった。

■そんなわけで、たまたま今回オリンピック開催地に、しかも学生の身分で滞在できるというのはラッキーだった。で、嬉々としてあれやこれや見に行き(その直前に欧州のどこかで開催されていたサッカーのユーロカップは逆にTVでも一切見なかった)、本当に素晴らしい思い出になった。

■一方で、オリンピックというのは一度考え出すと止まらない位様々な問題を抱えている。元より「平和の祭典」という脳みそお花畑的キャッチフレーズを鵜呑みにする程ナイーブではないつもりだったが、実際開催地にいて色々目の当たりにして、ちょっと考え込んでしまった。

■期間中、主にネット上で日本の五輪報道にも目を通していたのだが、最も実態と離れているように感じたのは「ロンドン中が大変な盛り上がりを見せている」といった論調の報道。たしかに表面上盛り上がっていたのは間違いなく事実だが、恐らく実際のところはもう少しややこしい。盛り上がっている一部の英国人・外国人と、ほぼ全く関心を持たない人々とに二分されていたというのが実情じゃないかと思っていて、恐らくその断絶具合はかなり深い。

■断絶を生み出している要因は色々あるが、一つは再開発のもたらす功罪。私の住んでいるタワーハムレッツ地区は五輪会場のお膝元といった場所なのだが、主としてこのタワーハムレッツと北側・東側の3地区が再開発の余波にさらされた。ロンドンの住宅価格は昨年対比6%以上上昇しているが、とりわけオリンピックパーク近隣、ストラトフォードは凄まじかったとのこと(※)。大量の住民が家賃を払えなくなったために引っ越しを余儀なくされたり、ホームレスになったりしている。そして、これら東部地域は移民が多く住む地域なのだ。この状況で移民が五輪にどんな気持ちを抱くか?

(※)ロンドンでは(不確かだが)たしか1か月前位の通知で、大家は住人に退去を求める事ができる

■二つ目は、ロンドンすなわちイングランドのオリンピックだということ。ロンドンはイギリスの首都であるため当然イングランド系以外(スコットランド・ウェールズ・北アイルランド系)のイギリス人もたくさん住んでいるが、その中には相当数、独立主義者が含まれている。今回、「Team GB(Great Britain)」の愛称のもと、各競技でイギリス統一チームが結成されたが、サッカーは色々手を尽くしたにも関わらず結局スコットランド不参加となった。イングランド人による「Team GB」の大合唱が、他の連中に「一つの英国」というプロパガンダのように聞こえたとしても不思議ではない。これはちょっと6月のダイヤモンド・ジュビリー(女王即位60周年)の時の状況に似ている。

■他にも、(東京五輪開催に反対する人の論調と同じように)五輪開催自体に懐疑的だった人達、五輪を一部政治家の人気取り制作と見なす人達、メダル獲得目標数達成のための外国人帰化策に反感を感じている人達なんかもいて、そうした人たちの五輪への目線は結構冷めていたように思う。

■開催前に大いに懸念されていた交通トラブルについては、特に大きなものは何も起こらず、地下鉄もたしかに通常より混んではいたが、基本的には平常運転だった。これをロンドンの事前計画の勝利と見なすか、平常運転できるレベルの盛り上がりだったと見なすか。

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