2012/05/22

学費支援と社会保障政策

ネット上で話題になっていた学費支援サイトに関してのメモ
あまり時事的なトピックに関することは書かないのですが、今の学生という立場と、大学(学部)に融資で通って、今も返済中という背景からつい色々考えてしまったので、備忘録。

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■英国の社会保障政策の変遷をなぞっていくと、経済的困窮に対する二つの視点いずれを重視するか、右往左往してきた結果だと分かる。
A) ある人の経済的困窮の原因は、不可避な出来事に帰する(戦争・不況・怪我病気障がい等含め、努力しても報われない状況を生み出す全てを含む)
B) ある人の経済的困窮の原因は、本人の近視眼的な選択に帰する(貯蓄しないで散財など)

■通常、社会にはAB両方の人が存在するが、どちらを多めに判断するかで政策が変わってくる。

■Aとみなされる人を増やしすぎると、社会全体の貯蓄インセンティブが下がり、社会保障コストがあがる。Bとみなされる人を増やしすぎると、社会不安と不満が増大する。

■そこで、先にバランスのよさそうな境界線をひいて、各貧困者がABどちらに該当するのかを判断し(Means Test)、給付を受ける妥当性のある人に必要な給付を与えるというのが、英国の社会保障制度の基本的な考え方。

■重要なのは、妥当性の判断においては、完璧な判断はあり得ないにしても、最善を尽くす事が求められる点。給付を受けようとする側も、なるべく客観的に社会保障を受ける妥当性を証明しなければならない。

■妥当性の判断がいい加減になると、貧困者の間で「しらけ」が広がってしまい、逆に社会的な不満が増大しかねない。例えば特定のコネがある人が優遇されると、無い人達はむしろ不満を募らせる。

■翻って学費支援プラットフォームにおいてもMeans Test同様の妥当性の判断が必要で、それはなるべく客観的かつ分かりやすいものでないと、貧乏な学生は逆にしらけてしまう。妥当性の判断に用いられる情報がろくになく、一番わかりやすい情報が「女子大生のちょっとかわいい顔写真」だったりすると、これはもう決定的にしらけにつながる。「SNSフォロワー日本一」というのも、それがなぜ妥当なのか説明がないと、分からない人は分からない。しかも成績下がって奨学金が切られたというオマケつき。これは相当ちゃんと説明しないと「B:近視眼的な選択による困窮」で、支援に値しないと思われる。

■にも関わらず既に約100万円集まってしまっている模様。これを見て、苦学生はどう思うか。相当SNSが好きな人でもない限り、世の不条理に逆にゲンナリする人、結構いるのでは。勉強頑張って奨学金維持している人もモチベーション下がるように思う。そしたら支援プラットフォームの志と、逆の方向になってしまう。

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