2012/04/07

ドックランズの話

私の住んでいる町は、ドックランズ(直訳すると造船所地帯)と呼ばれるゾーンの真ん中北よりの位置しています。

ドックランズはロンドン東部のイーストエンドと呼ばれる地域に所属しています。イーストエンド西側には金融街のシティ、南に私の学校のあるグリニッジ(天文台で有名)があります。地図↓
wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Docklands-map.jpg
この地図のテムズ川以外の青い部分が旧造船所だった地域です。今はかつての造船所としての役割を終え、シティと並ぶ金融センター兼ショッピングゾーン(主にIsle of Dogs、地図の緑色ゾーン)として注目を集めている模様。

とはいえ、各所の地名に造船所の名残を残しており、中心となる駅カナリーウォーフ(Canary Wharf)は「カナリア埠頭」ですし、他に「West India Quay 西インド埠頭」「Heron Quay ハロン埠頭」「West Ferry 西船着き場」等など、船にまつわる地名のオンパレード。

さて今も昔も移民の多いイーストエンドはかつてロンドンでも最悪の貧困と治安の悪さに苛まれていた場所だったようです。古くは切り裂きジャックの舞台となったのもイーストエンドだったり。

ドックランズとて例外ではなく、微妙な立地、農業に向かない低湿地という条件、造船所の稼働停止、移民問題等があいまって、ギャングの根城になっていたとかなんとか。

その後主として80年代にサッチャー政権下で大規模なウォーターフロント再開発が行われ、ドックランズ・ライト・レイルウェイ(DLR)という、ゆりかもめのような無人高架鉄道が整備されたり(実際ゆりかもめと同じ制御システムが使われているとのこと)、東側にロンドン・シティ空港が出来たりといった中で急激に変貌を遂げ、すっかりキレイになりました。治安も大幅に改善されましたが、ちょっと北ないし東にいくと急激に危険度があがります。

DLRにのってドックランズを見渡していると、荒れ果てた造船所地帯を有効活用したサッチャー政権の手腕に唸らされますが、一方でこんな指摘もあります。
"しかし、ドックランズの再開発は、他方で損失となった側面もある。大規模な不動産ブームとそれに伴う家賃の上昇は、ドックランズの転入者と、家賃上昇で出て行かざるを得ない古くからのコミュニティとの間に、深刻な摩擦を起こした。またイギリスのどこでも見られる不一致現象 -エグゼクティブのための高級なアパートが荒廃した公営住宅の傍らに建つ- のもっとも衝撃的な事例となった(都市のジェントリフィケーション現象)。" -Wikipedia
これは普通に街を歩いていても感じることは多いです。と言え、今なお(ロンドンとは思えないほど)急ピッチで開発の進むこの地域からは、そうした都市問題よりも変わっていく活力の方を感じ取ってしまうことが多いのですが。



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