2017/02/28

採用交渉についてのメモ

MBAの交渉モジュールでは、何よりまずは交渉のパイ自体を大きくすることを目指せと教わります。その上で片側が大きく勝ち越す交渉ではなく、XY双方の満足度が最大化するようにと(Go north east)。で、シングルイシューの交渉というのは基本的にWin-Loseの関係に陥りやすいためなるべく避け、交渉のイシューを増やすことが望まれます。

最近採用活動を通して実感しているのは、このようななるべくWin-Winの形を目指す姿勢というのは単に交渉をまとめやすくするというだけでなく、交渉後の双方の協業から生まれる成果を大きくするということです。

採用の場合、条件交渉でまとまったあと、候補者が入社しその会社で働くわけですが、交渉結果にわだかまりがあるまま入社する、つまり候補者のBATNA/撤退ラインのギリギリで入社した場合のちのちのエンゲージメント低下につながりやすい。一方的に買い叩くような採用は結局上手くいかない、ということです。

口で言うのは簡単、実際にそのような交渉をまとめるのは難しいですが心がけたいところです。

2017/02/14

成長と長時間労働

生産性向上が一種の社会的なブームになっている感があり、長時間労働への世の眼差しは日に日に厳しくなっています。


ところで、仕事における成長に長時間労働は必要なのでしょうか?


成長、甘美な響きです。今まで何人の候補者が面接においてこのワードを口にしたことか。個人的にはこの実態のよく分からない成長という言葉には胡散臭さを感じます。それは何をさしていて何のためのものなのか。単に金銭を得る能力、ビジネスを作る能力なり雇用市場で高く評価されるスキルセットなりをさすならば能力開発とかスキルアップで済みそうな気がする。成長という言葉には何か崇高な響きがあり、その響きで持って個々が成長のの先にある目的から目を逸らすように仕向ける、経営サイドの邪悪な思惑を感じないでもなく。


それはともかく、私の前いた会社もそうですがスタートアップ、ベンチャー界隈には今も長時間労働を美化する雰囲気があって、それはしょっちゅう成長と絡めて語られます。


私の1社目も人材系で某R社の影響が強く、量をこなすこととそのために長時間労働をすることは成長の観点で正当化されていました。特に若い時には死にものぐるいで働く期間が必要だ、それが後々の糧になる、とか言って。某ブラック居酒屋チェーンもそんなトーンだったと記憶しています。


そして私は実際毎日そこそこの長時間労働をし続ける20代を過ごし、その分成果を上げた時期もあったように思いますが、それが成長につながったのかはよく分かりません。それは多分今もって成長の定義が自分の中で曖昧なため。


今の会社の上司が以前、この年になると成長なんてない、ただ慣れて最適化していくだけと冗談で言っていたのですがそれもあながち間違いではないような。


仮に成長を、人間的成熟を果たすことと金銭を得る能力を伸ばすことの総体だとしたら、少なくとも今の役割では長時間労働は間違いなく自分にはマイナスになります。


外資のマネージャーにおいて求められるの能力の第一は良い意思決定を重ねられる力であり、その向上のためにはちゃんと考えて冴えた頭で決めるとこと、結果を振り返ることが必須だと感じていますが、自分の場合体力が並以下なのでちゃんと休まないとこれらができなくなってしまう。


外コンに行くような連中はスーパーマンなので睡眠3hでも考え続けることができるんでしょうが、私にはできません。


人間的な成熟については、秘訣あったら教えてって感じですが、自分自身を振り返ると、

大きな変化があった時

大きく失敗した時、それを本当に反省した時

素晴らしいインプットを得た時

様々な相手と人間関係を育む過程

なんかに少しづつ成長してきた実感があって、長時間労働とあまり関係あるように思えません。むしろ阻害しそうな感がある。


従って長時間労働は今の自分の成長には悪、という結論になりそうです。


では若い時の長時間労働はどうなんでしょうか。自分には分かりません。