以前読んだ本で、「ビール文化圏」と「ワイン文化圏」の違いを論じている文章がありました。
要は飲み会の場での人々の交流の仕方、発展してより一般的な、文化に根差したコミュニケーションスタイルを論じた文章でしたが、私が記憶している限りで言えば以下のようなものでした。
ビール文化圏では人々は個々のビアグラスを片手にパブをうろうろし、様々な人との広く交流の場を求める。人間関係は開かれた浅いものとなる。一方ワイン文化圏では人々は一つのワインボトルを一つのテーブルで共有し、そのテーブルでの一体感と深い会話を求める。より閉じた深い人間関係になる。
で、ここ数か月ちょくちょくイギリス人主催の飲み会に顔を出してみて、なんとなく上記の説は概ね正しい説明をしているように感じました。テムズ川のほとりに停泊している小型の船を用いたパブがいくつかあり、この季節はとても気持ちいいのですが、一昨日もその一軒での飲み会にお呼ばれして行ってきました。
イギリス人主催の飲み会は、基本的に参加者が自分の知り合いを勝手に連れてくる事に寛容で、一昨日の会も15人位いて、うち知り合いは半分以下。そして、パブのシステムというのは非常にこの「開いた飲み会」に都合が良い。お酒はカウンターでの個人会計、かつ席やテーブルにあまり仕切りを設けないため移動や途中参加がしやすいのです。一つのグループというより、個人をベースにして、その個人個人が緩やかに集まって会が形成される。ある意味では個人主義的ともいえます。
翻って日本の居酒屋の飲み会は、「個室居酒屋」が尊ばれることからも分かるように、ワイン文化圏に近い「閉じた飲み会」であり、そのベースになっているのは日本酒の一升瓶を共有して飲む飲み方にあるのかなと思ったりします。すなわち日本酒文化圏。
(とは言えそもそも日本の場合は宗教的に氏族・家族等の「血縁・身内」での関係性を重視する面があり、日本酒が個室での閉じた飲み会をつくったという因果関係は無理がある気がしますが)
ところでフェイスブックはこうした「開いた飲み会」で知り合った相手と連絡を取るのに非常に都合が良いツールだと言えます。相手の名前と、誰の知り合いなのかを確認しておけば後で連絡を取ることができる。メールアドレスを聞くより大分カジュアルに連絡先を得ることができ、これもパブ同様このスタイルでの飲み会にはとても便利なのです。