2012/06/28

サーチファームと投資銀行の類似性

サーチファーム(ヘッドハンティング会社)と投資銀行のアドバイザリー業務、あとは法人相手のオフィスの不動産仲介、この3つはいずれもビジネスモデルにおいて似た部分がある。

共通するのは「売り手を買い手をつなぐ」ビジネスであり、かつ1件のディールのフィーが高額になるという点。
 サーチファーム:買い手=企業 売り手=キャンディデート
 アドバイザリー:買い手=買収する企業 売り手=買収対象企業
 不動産: 買い手=オフィスを探している企業 売り手=物件のオーナー

このような「つなぐビジネス」においては、仲介者と、フィーを払う側である買い手との間に存在する、情報の非対称性が大きな役割を果たす。というか、それ自体がビジネスモデルの根源と言ってもいいかもしれない。悪い言い方をすれば、うまくだませば(少なくとも一時的には)より儲かる。

例えばサーチファームの場合。クライアントである企業に対して紹介したキャンディデートのうち、一人に対して企業が80点をつけたとする。企業は、まあオファーを出してもいいと思っている。ここで、サーチファームに、新しい人材の情報が入ってきた。その人材を応募されせば90点がつく可能性が高い。

この状況でどうするか。紹介するケースももちろんあるが、あえて紹介しない場合も多々ある。今から新キャンディデートを紹介すれば案件が長引く。その間に採用計画が見直しとなるかもしれないし、他ファームから95点の候補者が紹介されるかもしれない。そのリスクをかんがみて、「80点の今の候補者が落としどころですよ」と言ってオファーを出させるのだ。

M&Aアドバイザリーの場合、間にデューデリを挟んだりするからもう少し買い手に情報が入る気がするが、聞くところではアドバイザリー側とデューデリを担当するFAS等が裏でグルになっていたりすることもあるとかで、そんなにオープンに進むわけではないのだろうと思う。

こういうビジネスは、非常に個人的な印象だが、日本人はアングロサクソンやユダヤに勝てないような気がする。異常なストレス耐性と体力があり、アドレナリンが出ている間は何時間でも働けるというタイプが大成すると思うが、そんな日本人がどれだけいるだろうか。コー○フェリーの橘さんのような方は例外ではないでしょうか。

2012/06/26

2nd semester

うちの学校は変則的な学期構成になっており、6月から夏学期が始まります。

今学期は割と面白い科目が多いのですが、私の所属する人事管理専攻コースのみの科目である「Selection and Interview(選考と面接)」というコースがとりわけ興味深い。

これは採用における基本的な理論や知識等を理解した上で、グループワークで実際にJob Description(職務内容記述書、要は求人票)や採用プロセスを作成し、ロールプレイを行うというもの。MBAは良くも悪くも勉強内容が非常にプラクティカルですが、その典型といった科目です。

さて学期が変わり、多少新しいクラスメートが入ってきました。
人事管理専攻では、
アフリカ系オランダ人男性のスマート(ファーストネームは別にあるがアフリカ系の名前で憶えづらいため名字があだ名になっている)、
アメリカ人女性のベス(本名エリザベス、久々にアメリカ英語を聞いたら逆に混乱した)、
ザンビア人女性40歳6人子持ちのシャロン
の3人が加わりました。

これに私と、私と同じく今学期が2学期目のナイジェリア女性26歳妊娠中のアンを加えて5名が人事管理専攻(MBA HRM)となります。戦略やマーケティング専攻に比べるとマイナーで人数が少ないため、互いに仲良くなれますが気が抜けない面もあります。

2012/06/24

2012/06/19

引っ越しを手伝った話2

続き。

さて何故クラスメイトのダビデが引っ越すはめになったかというと、入居率が低い状態が続いたため、家主の中国人女性が家を売りに出す事にしたためでした。この国の場合、たしか1か月前の通知さえすれば住人が何と言おうと家主は売りに出すことができます。

で、ダビデはネット(Gumtreeというこちらでは有名なコミュニティサイト)で駅1つ南に下ったルイシャムに家を見つけたので、片道徒歩20分の新居まで荷物を運ぶというのが今回のお手伝い。男一人の荷物なのでたいした量ではなく、結局2往復はしたものの1回目で主な荷物はほぼ運び終えました。

ルイシャムはロンドン東南部の中心的な街で大きなショッピングモールがあり、またDLRの終点駅なのでバスも多く発着しています。私がロンドン到着後最初の数日泊まったエチオピア人の家の近くまでもバスが出ていて、過去に何度か使ったこともありました。

彼の新居はそのルイシャム駅から徒歩数分の割に便利そうなところにあり、見たところそこそこ新しく、家賃は月400ポンドとのこと。

「どう思う?」
「いいと思うよ」
「本当にそう思うか?」
「思う。新しい割に安いし(結構心配症だなコイツ)」
「じゃ契約書書いてくる・・」

ということで1階のダイニングで契約となったわけですが、テーブルで相対しているのは20代にしか見えない、またも中国人女性2人!あとで聞いたところによれば、家主は別におり、彼女たちは2人共同で家主から家を丸ごと借り上げ、それを又貸ししているとのことでした。この2人は香港ではなく本土の出身とのこと。

確かにロンドンの不動産業は入退室の激しさや外国人の多さを考えると結構大変そうなので、そうした需要はあるのかもしれません。しかしそれより何よりチャイナマネーの勢いが印象に残りました。以前噂で、ロンドンにいる中国人は物凄い金持ちの子女が多いと聞きましたが、それを実感しました。なお彼らの親の多くは自営か高級官僚という話。

2012/06/15

留学生採用に関するメモ

Googleアラートで興味深い記事を見つけたのでメモ。

大企業の人事部長が留学生に決して言わないこと(3) ~日本企業の65%において留学生は出世していない!~
“じつは、日本政府の機関である労働政策研究・研修機構が極めて興味深い調査結果を公表している(「日本企業における留学生の就労に関する調査」2008年)。その調査結果によれば、「母国出身の留学生に対して、日本企業への就職を勧めたくない」と指摘する留学生の先輩にその理由を尋ねてみたら、「外国人が出世するのに限界があるように見えるから」という回答が73.1%という極めて高い比率を占めていた(複数回答)。また、「賃金で業績や成果が反映されるウェートが小さい」という回答も32.8%という高い比率となっている(複数回答)。
現在日本にいる外国人留学生は(学部/修士いずれも)平均年齢が高い。これは日本で英語のみで卒業できるプログラムを提供している大学が少なく、定員も少なく、多くの留学生はたいてい1~2年間日本語学校に通ったり、大学の日本語コースを履修した後にようやく学部1年に編入するため。4月の一律入学というのも曲者で、8月に高校を卒業した学生が次の4月までの半年で大学レベルの日本語をマスターするのは結構難しいため、高校時代にそうとう日本語をやった人以外は最低1年半を費やすことになる。年功序列制度のもとでのこの数年の入社の遅れは昇進に響く。

以前、日系大企業をクライアントとして担当していた時につくづく感じたが、この問題の根は深い。そもそも年功序列はそれ自体単体で存在するものではなく、

  • 年功序列
  • 終身雇用
  • 人材への長期的投資
  • 社命による異動・出向・転勤を前提とした総合職制度
  • 生え抜きの経営陣
  • 一般職制度
  • 退職金
  • 系列会社への天下り的な異動

等々が組み合わさったトータルな人事制度なので、年功序列だけ単体で変えることは難しい。例えば、単に評価制度のみ成果主義に移行すると、ぶら下げられたエサがないままに異動や転勤を受け入れなければならず、職場としての魅力が半減してしまう。日系企業が今も20代若手社員に「総合職」の名の下に下積みとして彼等のもともとの志向性と異なる業務にもアサインさせることができるのは、前提として右肩上がりの年収がある。

昇進においても同じ。日系における総合職は(少なくとも名目上は)全員経営者予備軍であり、外様を多数ヘッドハンティングしてトップ層に据えるというのはありえない。それをやると今下積みをしている若手が腐ってしまう。

昨年出席した人事制度に関するセミナーで、成果主義を導入したものの年功に戻す例が増えているという話を聞いたのだが、そうだろうと思う。成果主義単独の導入は人事制度を壊し、人事制度全体の変更はドラスティックすぎてやれない。また、そもそも私個人としては日系的な年功序列や終身雇用Etc.による人事制度と、その逆の(一般に欧米的とされる)人事制度、どちらがより優れているかというのは未だ答えの出ていない問題だと思うので、盲目的に欧米追従する必要も果たしてあるのかとか、うんぬんかんぬん。

さてもし日系企業が年功をやめない場合、外国人に対して魅力のある企業であろうとするならば、日本語を採用要件にしないこと、社内での仕事を日本語不要でできる環境にすることがどうしても必要になる。つまり結局は英語の公用語化にいきつく。日本語が必要な会社である限り、22~23歳の外国人新卒を採るのは難しい。留学生の採用データベースを見るとわかるのだが、本当にいない。日本語要件をはずしてしまえば、極論世界中どこの学生でもいいから、日本で働けて英語を話せる22歳を探せば良いため母数が一気に増え、昇進でも不利にならない。

これに加えて、大学が英語だけで入学できて英語だけで卒業できる枠を大量に用意し、入学時期を年2回なんかにすれば国内に一定の留学生採用のためのプールができるはずだが、東大の9月入学導入でもあれだけ騒ぎになるのを見ると、果たして道は険しいのかな、と思ってしまう。

引用元 http://lite.blogos.com/article/41078/

2012/06/14

引っ越しを手伝った話1

クラスメイトで一番仲が良いのが陽気なイタリア野郎のダビデです。彼は正確にはダビデなのですが英語圏の読みが「デイビッド」なためにデイビッドデイビッドと呼ばれており、訂正するのも面倒なようでデイビッドを受けれているのですが実際はダビデなのです。

さてこのダビデはチャットで頻繁に話しかけてくるのですが、ある日めずらしくシリアスな雰囲気で「まずいことになった。お前の助けが必要だ」
と話しかけてきました。

私「どうしたどうした」
ダ「引っ越ししなきゃらならくなった」
私「なんで」
ダ「事情は後で説明する。とにかく○日の○時位空いてたら手伝ってくれ」
ということで先週彼の住む、学校から徒歩15分、DLR沿線Elverson Road駅近くのフラットを尋ねました。ここはグループワークの際に何度か来ていたので場所は知っていました。

中国人の若い30歳前後の女性がオーナーが家主とのことで、全4部屋プラスキッチンとリビングのついた非常にありふれたイギリスの一軒家タイプのフラットという趣き。老朽化しているものの、家賃が月330ポンドという安さ。私は月約420ポンドで、これもかなり安い部類ですがさすがにロンドンも南東部、すなわちテムズ川南岸の東の方、は格の違う安さです。

話がそれるのですが、ロンドンは商店街・オフィス街の中心部(セントラル)を除くと、北部・西部が比較的高級で、南部・東部は安い傾向にあります。私はイーストエンドと呼ばれる東部エリアの中でもかなり東よりのところに住んでおり、再開発の余波を受けて大分各所の家賃も値上がりしてきているようですが、それでもなお日本人の多く住む西の方に比べると安いです。

イーストエンドは今も昔も移民が多く、中華街もかつてはLimehouse近辺にあったとか(今はセントラルのSOHOに移っている)。移民が多い点では南部~南東部も同じですが、現在のイーストエンドの移民はアジア系(バングラデシュ、パキスタン、インド)が非常に目につくのに対し、南部~南東部は比較的アフリカ系移民が多いようです。私が当初の数日ホームステイをしていたエチオピア人の家も南東部のかなりへんぴな場所でした。
※正確なことを言えば、実際は街ごとにかなり様相が異なる。治安も駅2つ分くらいでガラっと変わったりします。

長くなってきたため何故彼が引っ越すはめになったのか等は次回に続く。