サーチファーム(ヘッドハンティング会社)と投資銀行のアドバイザリー業務、あとは法人相手のオフィスの不動産仲介、この3つはいずれもビジネスモデルにおいて似た部分がある。
共通するのは「売り手を買い手をつなぐ」ビジネスであり、かつ1件のディールのフィーが高額になるという点。
サーチファーム:買い手=企業 売り手=キャンディデート
アドバイザリー:買い手=買収する企業 売り手=買収対象企業
不動産: 買い手=オフィスを探している企業 売り手=物件のオーナー
このような「つなぐビジネス」においては、仲介者と、フィーを払う側である買い手との間に存在する、情報の非対称性が大きな役割を果たす。というか、それ自体がビジネスモデルの根源と言ってもいいかもしれない。悪い言い方をすれば、うまくだませば(少なくとも一時的には)より儲かる。
例えばサーチファームの場合。クライアントである企業に対して紹介したキャンディデートのうち、一人に対して企業が80点をつけたとする。企業は、まあオファーを出してもいいと思っている。ここで、サーチファームに、新しい人材の情報が入ってきた。その人材を応募されせば90点がつく可能性が高い。
この状況でどうするか。紹介するケースももちろんあるが、あえて紹介しない場合も多々ある。今から新キャンディデートを紹介すれば案件が長引く。その間に採用計画が見直しとなるかもしれないし、他ファームから95点の候補者が紹介されるかもしれない。そのリスクをかんがみて、「80点の今の候補者が落としどころですよ」と言ってオファーを出させるのだ。
M&Aアドバイザリーの場合、間にデューデリを挟んだりするからもう少し買い手に情報が入る気がするが、聞くところではアドバイザリー側とデューデリを担当するFAS等が裏でグルになっていたりすることもあるとかで、そんなにオープンに進むわけではないのだろうと思う。
こういうビジネスは、非常に個人的な印象だが、日本人はアングロサクソンやユダヤに勝てないような気がする。異常なストレス耐性と体力があり、アドレナリンが出ている間は何時間でも働けるというタイプが大成すると思うが、そんな日本人がどれだけいるだろうか。コー○フェリーの橘さんのような方は例外ではないでしょうか。