2012/03/31

次の産業?②


(前回の続き)かといって、純粋なモノづくりがいいのかと言えば、それも疑問です。よく「日本はモノづくりの国だから」といった論調を見かけますが、日本がモノづくりで世界的ブランドを確立したのはせいぜいここ50年位? 変に二次産業に固執する必要性があるんでしょうか。今や韓国メーカーや台湾メーカーなんかも日本の製品に引けを取らないクオリティのものを造っていますし、ブランドも認知されてきています。それも、安かろう悪かろうではなく、良品質ブランドとして。日本でのサムソン製スマートフォンの好調な売れっぷりを見ると、韓国メーカーへのブランドイメージが10年前とは全く異なることが良くわかります。品質にうるさい日本人でさえ買って結構満足してるわけだから。

個人的に期待しているのはサービス業です。日本のサービス業は「過剰サービス」等と揶揄される向きもありますが、一方で日本レベルのサービスを付加価値と捉えて、少し高いお金を払ってでも求める層は必ずいます。また、そもそも日本は国際的に「規律正しい」「礼儀正しい」「ちゃんとしている」といったイメージが(真実がどうかは別にして)まかり通っていますので、基本的にやりやすいはずです。

ただしサービス業の場合、ブランドと人材がキモ(というかそれらと価格位しか差別化要因がない)なので、いずれも育てるのに時間がかかります。新興国のローカルスタッフにいちから日本流のおもてなしの心を教えてどうのこうのなんてやっていたら、軌道に乗る前に倒産しそうです。かと言って日本人を現地に送り込もうにも国全体の英語力が壊滅的なのでそれも難しいというジレンマがあります。

更にいうと、サービス業と一口にいっても結構参入しにくい分野もかなりあります。例えば
・ホテル…比較的古くからホスピタリティーの重要性が認知されているため既に欧米の既存ブランドが腰を据えている
・医療介護…多くの国で規制に守られていて入りにくい
など。

そんなことを考えると、私としては製造業とサービス業の合わせ技が面白いんじゃないかなと思います。イメージとしてはトヨタのレクサスのような感じでしょうか。製品の良さ+アフターフォローの良さによって、レクサスのアメリカでの驚異的なリピート率は有名です。

ところが、先日遊びにきた商社勤めの友人H高によれば、日本のメーカーは往々にしてサービスのノウハウを持っていないんだそうです。ではどこが持っているのかといえば、分社化されて別の会社になっていたり、同財閥系列の別企業に完全に投げてしまっていたり。日本の会社は子会社が異常に多いことで知られていると大学で聞いた記憶がありますが(実際、日立なんかは大分整理した今でも900以上の子会社がある)、その弊害なんでしょう。メーカーと販社とアフターサービス会社が全部別々だったりとかで、ワンストップでメーカーが全部やれないという。

ではM&Aするなりなんなりで一緒にしてしまえばいいと思うんですが、それこそ実際にいま一部の業界で進行しつつある動きとのこと。友人の例では、先日ある日本の大手鉄道会社がサービス子会社と合併したそうです。それまではその鉄道会社はサービス子会社が持つ、部品の損耗率とか耐用年数とかを細かく計算してメンテナンスするというノウハウを提供できていなかったとのことで、なんとももったいない話です。

IBMは90年代の危機を(当時の世論とは逆に)敢えて分社化せずサービス事業にフォーカスすることで乗り越えV字回復したという話がありますが、こういった海外の事例も参考になりそうな気がします。

あとは環境関連ビジネスがうんたらかんたらという話がありますがこのへんは良くしらないので機会があれば勉強してみたい。

2012/03/29

次の産業?①

ユーロからは外れていることもあって、EU内においては相対的に「まだマシ」と見なされているイギリスですが、それでもやはり近年は金融業が経済の牽引車となってきた国ですので、リーマンショック後の景気は決して芳しいものではないようです。

母校の元大臣先生をはじめ、以前はイギリスやアイルランドのような金融業への注力を大々的に進めるべきとの論調がありましたが、最近は全然見かけなくなりました。

そういった中で、これから日本がどういった産業分野に重点を置くべきかというのはとても難しい問題だと思います。

アメリカの場合、ここ10年程はITと金融が大きな成長産業で、金融は若干失速したもののIT(厳密には特にSNS等インターネットサービス)が引き続き伸びています。では日本でIT・ネットサービスが次のトヨタになりえるのかと言えば、個人的には余りイメージがわきません。

理由は、資金調達が難しいと思うからです。

ベーシックな調達手段として、金融機関を考えてみます。今の日本の商業銀行は相対的にリスクを取りたがりません(ただしそのおかげでサブプライムローンでの被害が軽微にとどまったので、銀行にとってそれが一概に悪いとは言えない)。大手銀にお勤めで融資をやっている友人曰く、とにかく手堅い融資先に追加融資をお奨めして、危ないところから貸しはがすばかりとのこと。育ってから融資してもらっても海外のライバル企業の背中は遥か彼方。

ベンチャーキャピタルも苦しんでいるので期待しづらい気がします。ベンチャーキャピタルの場合、ベンチャーが育たない→IPOしない→ベンチャーキャピタルが儲からない→リスクを取りづらいので積極投資できない→ベンチャーが育たない→・・ という悪循環になっているんじゃないでしょうか。

IPOによる調達は当然大きな選択肢だと思いますが、一度公開企業になってしまうと株主の顔色を見ながら経営判断をしないといけないのでスピード第一のIT業界において、成長途上の段階でやってしまうのはデメリットも大きいような。それが理由で非公開化する会社もチラホラ見かけます。

もちろん例外的にグローバル展開を見据えられるレベルまで成長しているIT・ネット企業もいくつかありますが、やはりアメリカと比較するとベンチャーがそこまでいくまでの事業環境としては、日本は不利なんじゃないかと思います。仮にもIT業界に身を置いた者としての実感ですが、IT・ネット等のハイテク産業の場合はとにかくクイックな資金調達・先行投資が大事なので。逆に比較的商品開発のスパンが長いもののメーカー、車とかプラントとか素材とか食品とかはそのへんがマイナスに働きにくい。

長くなってきたので続く。

2012/03/16

"pensions in the UK" の場合はthe がつくのに、"UK pension system"の場合はthe が付かないことに軽く混乱していましたが、the UKは固有名詞で、the がつかない時はUKを形容詞扱いにしているというだけのことだと気付いてすっきりした。

2012/03/11

エスニックグループと身の振り方


私の通う学校は圧倒的にアフリカ系がマジョリティで、概ね6割位に達すると思います。一方東洋人はスーパーマイノリティで、一回中国人ぽい女性2人組をちらっとみかけた位。もちろん私のコースである経営学修士のフルタイムについては東洋人は私一人です。そんなわけで校舎を歩いていてもちょっと人目を引くというか、ある意味妙に目立ってしまう感じがします。教授にすぐ顔を覚えてもらえるのでその点いいですが。

ちなみに、私の経営学修士コースの他にはどんなのがあるかというと、修士だと観光マネジメント、ガス&オイルマネジメント、法学等のコースがあり、さらに経営学の学士課程と博士課程、経営学修士の準備コース(FoundationないしはPre-MBAと呼ばれる)などなど、マネジメントに関連する色んなコースがごった煮であるので、全体では結構人数がいる模様。なお観光マネジメントは結構評価が高いそうです。

さて、我が経営学修士のコースも学校全体の比率を反映して約6割がアフリカ系。もちろん人によりますが、ウチのクラスのアフリカ系はやかましいというか、大声で陽気にしゃべりまくってる奴が多いです。その他のエスニックグループはマイノリティで、見た感じややアフリカ勢と距離を置いている感じです。ちょっと入り込みにくいというか。カタール人2人組はいつもその2人でつるんでいるし、1人ずついるインド人とイギリス人は我関せずと言った顔で携帯電話をいじったりしていたり。

私はというと、流れでイタリア人とリビア人と仲良くなり、ある授業のグループワークでも後からその2人のグループに入れてもらいました。一応、このグループにはもう一人メンバー(どこか忘れたがアフリカ出身)がいるのですが、メールを全然返さないので他の2人からちょっとキレられており、おそらく除外される見通し。

ある時グループワークにそいつが来なかったため、リビア人が
「あいつをグループに入れたのは失敗だった」
と言うとイタリア人が
「というか俺、クラスメイトは~俺達以外誰も信用してね~し~♪(←英語での口調を忠実に再現)」
みたいな返しをしていて、おお怖い怖い。

しかし私がこのグループに混ざったのはなんとなくの成り行きでしたが、2人とも程よくマジメで授業も熱心に聞いており、「あたり」のグループでした。イタリア人のダビドなんて口調と言ってることは適当野郎そのものですが授業に一度も遅刻してこないあたり何気にマジメです。(ただしたまに家で勉強しているとチャットとメールでジャマをしてくる)

なお「ハズレ」だとどうなるかというと、以下のような連中とグループワークをするハメになります。
・授業に出ないor遅刻しまくる
・出てもちゃんと聞いてない(発言内容が明らかに聞いてない。「聞けてない」のではなく「聞いてない」)
・英語にクセがありすぎて何言ってるのか分からない

そんなわけで今後別の授業でグループワークをすることになった暁には身の振り方をよく考えないとと思った次第。

(以下蛇足)
入学前はインド系が多いと予想していたが、実際ほとんどいないのはなぜか?という疑問に関する仮説。
・インドのビジネススクールは最近猛烈に世界ランキングを上げている
・ビジネススクールに行くようなインド人で、「英語を上達させたい」という動機を持ってる人は少ない(既に十分流暢だから)
 ↓
お金のある奴は欧米の学費の高い超トップ校にいく
お金のない奴は国内のトップ校にいく(英語は既に出来るので留学の必要がない)
 ↓
ウチの学校には来ない

おそらくアフリカ系が多いのもこのへんが関係しているのではないかと。
予想外にアフリカ系の人々と交流が持てたのはラッキーでした。

2012/03/04

英語を書くこと


昨日、今日とひたすらレポートと格闘しています。
英語習熟という果てしない道のりに時々眩暈を覚えます。

でもちょっと振り返る。

大学時代(一応日本の大学入試問題で一番難しい部類とされている英語の問題をパスしたにもかかわらず)、博士課程で英語の論文を書いたりする人がいるのを見て、ただ凄いなぁ、自分にはとてもマネできん、と思っていました。

しかし、
時間をかけてチマチマとZ会の英作文のテキストをやり、
TOEFLのライティング問題に何十問と取り組み、
ハイスコアが出て少し自信をつけ、
改めて文法と構文を勉強しなおし、
GMATのライティング問題をやり、
ハイスコアが出てまた少し自信をつけ、
出願エッセイを書いて添削を受け・・
といった長い長いプロセスを経る中で、日本にいながら(海外留学を経ることなく)、
「3000単語のレポートならなんとかなるかなぁ」
という一応の自信を持てるようになった。中々感慨深いことです。
(とか言いながら採点されたレポートが赤点だったら笑える、いや笑えない)

日々歩む中ではわからなくても、振り返ると上達が見えることがあるなと、改めて思いました。プラス、自分はやっぱり上達・進歩が目に見えて分かることが好きだと確認。人材の営業のような、成長がVagueな感じでしか分からないことには努力を続けられないタイプです。数字への達成意欲とか競争心はそんなに強くないし。
おわり。

2012/03/03

ポリッジ三昧

先週末、やや風邪気味だったので特に何もせず寝て過ごしていました。

水を飲みに階下に降りていくとフラットメイトのアンリ(ドイツ人男子)がいました。

(ちなみに私の部屋はアパート内の階段上がった左手にある。アパートの各戸は2フロア構成になっており、下に共有スペースと1部屋、上にシャワーと3部屋。ウチは建物の2階に位置しており、我が部屋はそこから上記のように階段を上がったところにあるため実質3階と同じ高さ。なので結構眺めが良い)

アンリ「おはよう。調子どう?」
「いまいち。風邪ひいた」
「アーそれは良くないね。朝ごはん食べた?」
「いんやまだ食べてない」
「ちょっと待ってて」(ゴソゴソ)
「何それ」
「ポリッジ。知らない?ポリッジ」
「知らない」
「これスコットランドの伝統的な料理。こうやって牛乳を入れて・・・ (電子レンジに入れる)甘口好き?」
「甘口も辛口も好きだね」
「(電子レンジから取り出す)じゃ蜂蜜を入れる。で、よーくまぜて・・」

できたポリッジなる食べ物は、見た感じお粥でした。アンリはリンゴとバナナもくれました。
「これ凄く栄養が多い。もし苦手でも全部食べたほうがいい。」
「多分食べたことないな。いただきます」
「はいどうぞ」
「・・・うまい。これ俺好きだわ」
「ヨカッタ(ニッコリ)」

お粥に似ているのですが、ちょっとパン的というか、麦をイメージさせる味と食感で、優しいという形容詞がピッタリな甘さがあり、非常にうまいです。

しかしこれは実際のところ何なんだと思って調べてみたところ、いわゆる“オートミール”と同じものだと判明しました!オーツ麦のお粥なので、やはり麦だったわけです。名前は聞いたことあれど、意識して食べたのははじめてでした。

さてこのオートミールもといポリッジ、B群を中心としたビタミン、ミネラル、鉄分、亜鉛などを豊富に含み、マクロビオなんとか??にも使われているそう。万能食らしいです。しかも安い。コープで一番安いプレーンポリッジが1袋1kg69ペンス(90円位)。これで15~20食分位に相当します。

この日以来、私は完全にポリッジに目覚め、最高で朝昼晩デザートと1日4回食べました。もちろんこれだけだとややたんぱく質とかビタミンCとかが不足したりするのでチーズをかじったりイチゴのパックを買ってきて食べたりするわけですが。

味付けについても、甘くするほかに、スコットランドの伝統に則って水と塩で煮る方法もあります。塩だけだとやや物足りない感じですが、とにかく塩方向での味付けでもいけるのは確かです。

そんなわけで今日もポリッジ、明日もポリッジ。グッバイ食パン。

2012/03/02

勉強面について。 勉強面について。 勉強面について

次第に各種課題等が増えてきました。現在並行して進めている課題は3つあって、
①情報システム・・・レポート「情報化社会にプライバシーは存在し得るか」(ビジネスマネージャーの観点から)3000Words
②リサーチスキル・・・研究テーマの骨組み、1000Words
③人的資源管理・・・イギリスの年金制度の未来について、グループによるプレゼン+レポート3000Words
といったところ。

レポートを書くこと自体はそう苦痛ではないですが、単位を落とせない恐怖感があるのと、教授のお言葉からやたらと「Master's Degreeに求められるレベルでは云々」「君たちがMBAと認められるためには云々」といったセリフが飛び出し、やっつけで片付けられないプレッシャーがあります。ある意味そんな時に一番ここは学部ではなく修士課程なんだなぁと実感します。

今のところ比較的レクチャー形式の授業が多いこともあり(学校によってはとにかくケーススタディとディスカッション/ディベートを年中させまくる所もある)、スピーキングについては学外でも自己努力が必要だと感じています。

ところでクラスの雰囲気ですが、アフリカ系が多いためか、わいわいと賑やか(うるさい)ところがある反面、良くも悪くもビジネスライクというかドライな印象があります。キャリアアップのためと割り切って来ている学生も比較的多いんじゃないでしょうか。ただしこれはウチだけに限ったことではなく、世界屈指の金融センター・ロンドンに位置するビジネススクールは多かれ少なかれそういった傾向があるようです。学生も金融畑の人が目立ちます。中にはガーナで農業をやってたという奴(スティーブン)がいたりして面白いですが。

先日授業のない日に図書館に用があったため学校に行くとたまたまクラスメイトに会い、立ち話をしました。で、その流れで「今度一緒にランチ(Lunch)でもしようぜ」と言ったつもりが、どういうわけだか一緒にビジネスを始める(Launch)話と誤解されてしまいました。そんなヘビーな話じゃないってば。8割は私の英語力の問題ですが、クラスの雰囲気をあらわしているとも言えます。

ちなみに当初10人位と思っていたクラスサイズは、実際は20人以上いました。どうも初回~2回目あたりまでは、学期間休みを利用して里帰りしたり旅行したりしていた連中がかなりいた模様。授業でろよ。