年末ということで振り返ります。
今年はざっくり3つに分けられるかと。
①採用で忙殺
年が明けて部署異動になり、タクシー3時4時帰りが常態になった。しばらくして胃がおかしくなった。徐々に完全に体がおかしくなった。留学準備が1月~2月にかけて停滞。地震を経て危機感が沸いてきて、再び留学準備にスイッチオン。グローバル採用に関われたのは良かった。
②留学準備最終段階
TOEFLに適当な所で見切りをつけ、GMATに移行。難解で何度となく投げそうになったが、結局、特に文法を体系的に整理できたのは本当に良かった。ARで4.5取れたのは自信に繋がった。この時期並行して実家に引越し。GMATを片付けてエッセイ等に移行。エッセイ・推薦状・Etc..→そして燃え尽き期約1ヶ月に突入(この時期に体のあちこちのメンテナンスを開始)。
③社労士事務所で武者修行
職域を広げるべく、社労士事務所の門を叩く。思った以上の丸投げ職場(業界がそういう業界)、マニュアル本を片手にWebで調べて予習復習。働くということのリハビリになったし、何より給与計算や社会保険事務についての業務を知れたのが大きい。
こうして見ると、結構動きがあったというか、Unstableな一年でした。
大過なく過ごせた事には感謝感謝ですね m(_ _)m
【当初計画していて達成できたこと】
○BS合格:達成
→ただし第一志望には届かず。
学費調達の面で段取りが悪かったため、実際の
進学先決定は若干妥協と折衷の末になされる結果に。
○給与・社保の業務のベースを取得:まぁ達成
→ただし血肉にするには要復習。
もう少し早めに動いていれば良かったとも思う。
○先方の実家訪問:達成
→省略
△大事だと思う人たちと会う・話す:微妙
→父方の祖母に会いにいけたのは◎。
一部の友人とブランクが空いたままなのは×。
【当初計画していて達成できなかったこと】
×テストスコア目標点の達成
→TOEFL100等。結局どちらもその少し手前で着地。
(正直テストモノへの自信を失ったよ・・)
×体力向上・体重増加
→夏までは体重・体力共に順調に増加。
秋に燃え尽きたあたりで息切れ。
完全に元通りになってしまい、未達に終わる。
×会計の基本を学ぶ
→時間足りず。年初に持ち越し。
【当初計画していなくて達成できたこと】
○世界遺産検定3級合格(見込)
→ノリで受けたが話のネタが増えた。
来年は無理だが再来年あたり2級も受けたい。
○白川郷旅行
→合掌造りの民家に泊まるという素晴らしい体験ができた。
台風というアンラッキーを結果オーライに変えられた。
その他得られたことについても少々。
やはりビジネススクール受験というプロセスの最終段階を経る中で、自分の中での様々な事項についてのプライオリティーが明確になった。結局、学校のランクより学費の安さを優先したのもそうですが、そもそも根本の部分で「今自分が人生でどういうステージか」「その上で何を優先すべき状況か」を考えることができたと思います。結果、色々な軸について、自分のスタンスやプライオリティーが固まってきた。以下一例。
・成長<健康
・成長<自分の価値観に沿った価値をもたらすこと
・他者評価<成長
・キャリア上どの程度リスクを負うかのバランス
ややローリスク寄りに修正
・世間体<したいこと・すべきこと
・所有<使用
また、大学受験のころから、いつの間にか行動・思考様式としてかなり頑ななもののになってしまっていた、「あらゆる最終決定は自分で下す」「自分以上に自分の事を考えている人はいない」「だから周りには基本的には相談しない。相談は考え切れていない甘えである」というスタンスに変化が生まれました。詳述はしませんが、今年は周りに積極的に意見を求める事で自分の偏った視野を是正したり、違った角度からの突っ込みを受け入れることの重要性を感じました。これは結構大きな変化かもしれません。
また少しずれますが、家族やその他大事な人物には説明責任をちゃんと果たす必要性を感じたのも今年の学びでした。大人として、もっと早く気付くべきだったな。
本をたくさん読めたのも今年の収穫でした。偶然にも素晴らしい良書にたくさん会えました。以下一部を列挙。
・「天地明察」 生き方。
・「武士道シリーズ」 物事に向かうスタンス。日本人としてのアイデンティティ
・「マネーボール」 どんな仕事をしたいか。
・「アンダーグラウンド」 時代認識。
・「ヴィンランド・サガ」 イギリス地理、部分的なイギリス史。
・「うさぎドロップ」 子育て。少子化対策、職場環境など。
・「暴走する資本主義」 社会政策に対する見方。
音楽もたくさん聞きましたし、美術展にも割合多く行けましたし、世界遺産検定受験もしました。年の後半にこうしたビジネスと関わりの無い領域でのインプットを増やせたのは本当に良かったと思う。
あと長年多忙を理由に放置していた身体のメンテナンスができた一年でした。歯医者にたくさん通い、一度持病について入院検査も受けました。
大きなターニングポイントとなる一年だったと、後で振り返って言えるように来年も頑張りたいです。
2011/12/31
2011/12/28
イギリス学生VISAの話
後手後手に回りつつも一応予定通り年内にVISA申請を完了しました。最悪申請が落ちてもギリギリもう一度申請して間に合うタイミングということになります。
ちょっと色々分かった事があるので一応まとめておきます。
■VISA業者は使った方がよさそう
他の国は分かりませんが、少なくともイギリスに関しては、VISAはカウンセリング会社を通した方がよいです。
まず学校がアテになりません。普通に間違った指示を出してきます。また申請フォームをDLしたり予約をしたりするのにイギリスビザセンターやUK Border Agencyのウェブサイトを行ったりきたりする必要があり、サイトも正直不親切な作りなので、一人で進めようとするとかなり手間かつミスしやすいかと思います。
私は知人の勧めでSI-UKというカウンセリング会社にいって、3000円強で色々していもらいましたが非常に丁寧なサポートでした。お勧めです。
(ただし、先輩に一人、VISA申請アドバイス業者を使っても2回落ちた(そして3回目で通った)という人もいますので結局のところは自己責任・・)
■財政証明
細かい話ですがStudent VISAのTier4、General(フルタイムの大学院に通うのであればこれに該当する)の場合、通う学校がUK Border Agencyに「Highly Trusted」認定されているとVISA申請時に【28日以上の財政証明】は不要です。実際申請しに行ったら要りませんと言われました。
ただし、私の通う学校の場合、学校が「Highly Trusted」格を担保するため、前ステップの【CAS発行】の際に財政証明が求められました。なのでいずれにせよ金策は早めにしておくと良いと思います。
■Birth Certificate
CAS発行を学校に依頼する際、Birth Certificateを求められます。日本の場合これにぴたり合致する証明書はないので戸籍で代用します。私は戸籍をスキャナで取り込んで画像ソフトで適当な英語訳を付けたものを送りました。
ちなみに一度、学校のわからんちんの担当者から「戸籍じゃダメ、Birth Certificateを取得するように」と返されましたが、「日本にはそれはないのです。みな戸籍で代用してるのです。CASください」と返事をしたら結局発行してくれました。最初から発行してくれよ。
ちょっと色々分かった事があるので一応まとめておきます。
■VISA業者は使った方がよさそう
他の国は分かりませんが、少なくともイギリスに関しては、VISAはカウンセリング会社を通した方がよいです。
まず学校がアテになりません。普通に間違った指示を出してきます。また申請フォームをDLしたり予約をしたりするのにイギリスビザセンターやUK Border Agencyのウェブサイトを行ったりきたりする必要があり、サイトも正直不親切な作りなので、一人で進めようとするとかなり手間かつミスしやすいかと思います。
私は知人の勧めでSI-UKというカウンセリング会社にいって、3000円強で色々していもらいましたが非常に丁寧なサポートでした。お勧めです。
(ただし、先輩に一人、VISA申請アドバイス業者を使っても2回落ちた(そして3回目で通った)という人もいますので結局のところは自己責任・・)
■財政証明
細かい話ですがStudent VISAのTier4、General(フルタイムの大学院に通うのであればこれに該当する)の場合、通う学校がUK Border Agencyに「Highly Trusted」認定されているとVISA申請時に【28日以上の財政証明】は不要です。実際申請しに行ったら要りませんと言われました。
ただし、私の通う学校の場合、学校が「Highly Trusted」格を担保するため、前ステップの【CAS発行】の際に財政証明が求められました。なのでいずれにせよ金策は早めにしておくと良いと思います。
■Birth Certificate
CAS発行を学校に依頼する際、Birth Certificateを求められます。日本の場合これにぴたり合致する証明書はないので戸籍で代用します。私は戸籍をスキャナで取り込んで画像ソフトで適当な英語訳を付けたものを送りました。
ちなみに一度、学校のわからんちんの担当者から「戸籍じゃダメ、Birth Certificateを取得するように」と返されましたが、「日本にはそれはないのです。みな戸籍で代用してるのです。CASください」と返事をしたら結局発行してくれました。最初から発行してくれよ。
2011/12/23
資格の話
採用まわりの仕事を数年してつくづく感じますが、もはや○○の資格があれば一気にキャリアアップで一生安泰、という市場ではなさげです。(もし何らかの難関有資格者の方が読まれたら気を悪くしないでください)
事業環境の変化の速度が速いから、資格も雇用市場での価値が上下するスパンが短くなってる気がします。
具体例
・公認会計士 ~2008年頃まで:一生安泰資格の代名詞、若くて高学歴なら即BIG4→大手監査法人の採用縮小+合格ハードルDown?であぶれ気味、事業会社も余り採りたがらない
・USCPA 2004~2006年頃まで:海外移転税制業務等の需要から、未経験者でも科目合格レベルでBIG4関連に入社可能→現在:未経験者はフル合格でも就職困難、英語に強い簿記1級といった感じ
・司法試験 やはり供給過剰気味 (理由など詳細は調べてない)
短期的に特定資格の重要が高騰する事もあるので、その波をとらえれば今でも資格で一発逆転は有り得るでしょうが、普通は難しいと思います。
いずれにせよ単一領域の専門家では厳しくて、一つの専門領域+相乗効果を見込めるプラスα、が必要なんじゃないでしょうか。自分にはないですね~。
あと英語はだんだんプラスαにならなくなってきてるような印象があります。
怖い世の中だな。
事業環境の変化の速度が速いから、資格も雇用市場での価値が上下するスパンが短くなってる気がします。
具体例
・公認会計士 ~2008年頃まで:一生安泰資格の代名詞、若くて高学歴なら即BIG4→大手監査法人の採用縮小+合格ハードルDown?であぶれ気味、事業会社も余り採りたがらない
・USCPA 2004~2006年頃まで:海外移転税制業務等の需要から、未経験者でも科目合格レベルでBIG4関連に入社可能→現在:未経験者はフル合格でも就職困難、英語に強い簿記1級といった感じ
・司法試験 やはり供給過剰気味 (理由など詳細は調べてない)
短期的に特定資格の重要が高騰する事もあるので、その波をとらえれば今でも資格で一発逆転は有り得るでしょうが、普通は難しいと思います。
いずれにせよ単一領域の専門家では厳しくて、一つの専門領域+相乗効果を見込めるプラスα、が必要なんじゃないでしょうか。自分にはないですね~。
あと英語はだんだんプラスαにならなくなってきてるような印象があります。
怖い世の中だな。
2011/12/21
慎重にいきましょう
退職後に訪れた母校や日本の公的サービス機関(役所、ハロワ、etc.)とつい比較して思うのですが、これまで私が接してた範囲で言えば、イギリスの人達が提供してくれるサービスは概して大雑把でいい加減な印象です。一部を見て一般論を語るのは私の主義ではないですが、さしあたっての行動スタンスとして留学中はある程度のいい加減さを織り込んで行動した方がよさそうです。
基本的に日本のサービス業者や公的機関のサービス水準が非常に高いものであり、海外では日本の水準で考えるべきではないというのはもとより肝に銘じてはいたのですが、イギリスに関してはなんでかキッチリしているんじゃないかというバイアスのかかったイメージを持ってしまっていました。ということに気付きました。
具体例は色々あるんですが、直近だとVISAのアプリケーションを楽にするために学校側で作られたオンライン書類作成システムがあるのですがどうやってもログインできないので問い合わせたところ、結局白紙のアプリケーションフォームを添付で送ってきました。
そんぐらい自分でもDLできるわい、投げやりな対応しやがってと、その時はそれだけ思って、しょうがないので添付で送られてきたフォームを埋めて、VISA申請のカウンセリングに行ってきました。
カウンセラーのお姉さん「このフォームは古いですね」
「えっ、これ学校が送ってきたフォームなんですけど!」
「今このフォームで出したら申請落とされますよ。こういうことは結構あるんで気をつけた方がいいですよ。
あとCAS(学校が発行するVISA申請に必要な書類)の内容も本当に合ってるか確かめた方がいいですよ。以前、学校側が自分達の住所を間違えて発行してたこともありましたから」
こうなると自己責任でガリガリ進めていくしかないですね。
勉強になります。
基本的に日本のサービス業者や公的機関のサービス水準が非常に高いものであり、海外では日本の水準で考えるべきではないというのはもとより肝に銘じてはいたのですが、イギリスに関してはなんでかキッチリしているんじゃないかというバイアスのかかったイメージを持ってしまっていました。ということに気付きました。
具体例は色々あるんですが、直近だとVISAのアプリケーションを楽にするために学校側で作られたオンライン書類作成システムがあるのですがどうやってもログインできないので問い合わせたところ、結局白紙のアプリケーションフォームを添付で送ってきました。
そんぐらい自分でもDLできるわい、投げやりな対応しやがってと、その時はそれだけ思って、しょうがないので添付で送られてきたフォームを埋めて、VISA申請のカウンセリングに行ってきました。
カウンセラーのお姉さん「このフォームは古いですね」
「えっ、これ学校が送ってきたフォームなんですけど!」
「今このフォームで出したら申請落とされますよ。こういうことは結構あるんで気をつけた方がいいですよ。
あとCAS(学校が発行するVISA申請に必要な書類)の内容も本当に合ってるか確かめた方がいいですよ。以前、学校側が自分達の住所を間違えて発行してたこともありましたから」
こうなると自己責任でガリガリ進めていくしかないですね。
勉強になります。
2011/12/20
創造型人材か専門家型人材か
大手人材紹介会社で働く知人がFBにて人材ビジネスに以下のような事を書いていました。
でもその辺になるともはや「人材紹介」の枠を超えてくるので、人材の会社が採用・雇用スキームのコンサルまでやるか(ちょっと実現イメージを持ちにくい)、インハウスの人事担当が自分達でやるかのどちらかになると思います。なぜかマー○ーとかタワー○ワトソンあたりの大手外資人事コンサルはこのあたりの採用が絡む領域にはあまり手を出してないですね。
■"求められる人材"と"活躍する人材"の違いを見極め、"求められる人材"のみではなく"活躍する人材"の支援をしていくことがこれからの人材ビジネスにおいては重要
■工業社会:工場労働者が"求められる人材"であり、知識労働者が"活躍する人材"
■情報・知識社会:知識(事務)労働者が"求められる人材"であり、ある分野の専門家が"活躍する人材"
■これから:専門家であるだけでは"求められる人材"、専門性を武器に新たな価値を具現化していける創造者が"活躍する人材"となり、専門家は価値が薄まりいずれ陳腐化していく
■そして先行投資としてこうした人材に目を向けることが(人材ビジネス企業には)必要ではないか
大筋としては合意なのですが、私自身事業会社で「創造型人材」を(大金を投じてでも)かき集める事を至上命題としている部署にいた経験から言えば、創造型の人材かどうかは短期間では極めて判断が難しいです。従って、並のキャリアコンサルタントが1~2時間の面談で判断できる事ではなく、超一流キャリアコンサルタントがじっくり何度も会ってようやく「50%以上」位の程度で判断できる能力だというのが私の意見です。
さらに仮に判断できたとしても、
①(まだ必要性を感じていない)クライアントにそうした人材の必要性を理解してもらう
②その上で、専門家と比べて可視化しづらく(=レジュメに表現するのが困難)、人事担当者に伝えるのが難しい能力を伝える
という2段階の営業が必要になるので実際のところ難しかろうかと思います。
なおかつ、今の「書類選考→面接数回+筆記」という旧来型の選考方法では、目利きの採用担当者であって判断が困難なので、本気でこうした事をやる場合は採用・雇用スキーム自体を変えないと無理なんじゃないでしょうか。
でもその辺になるともはや「人材紹介」の枠を超えてくるので、人材の会社が採用・雇用スキームのコンサルまでやるか(ちょっと実現イメージを持ちにくい)、インハウスの人事担当が自分達でやるかのどちらかになると思います。なぜかマー○ーとかタワー○ワトソンあたりの大手外資人事コンサルはこのあたりの採用が絡む領域にはあまり手を出してないですね。
ちなみに私は2年ほどの間にあまり創造性のあるタイプではないという結論に至りました。私のようなオールドタイプは専門家としての付加価値を頑張って高めないと生きていけなくなる時代がくるかもしれないですね。
人のこと言ってる場合じゃないです。
人のこと言ってる場合じゃないです。
「アンダーグラウンド」感想②
前後しますが個別のインタビューの感想。
多くの人は自分が将来出くわすであろう多くの事象について、自分の属する集団の[平均値]や[マジョリティーにあてはまる未来]等々に基づいた想定を(意識的or無意識的に)行っています。
例えば「日本の20代会社員男子」という集団に属する人が老後について語る時、大抵暗黙の内に70代後半~80歳前後まで生きることが想定されていますし、「進学校の高校生」という集団に属する人が進路について語る時、それは大抵<大学進学>という前提の中でどのような大学・学部を目指すかの話になります。
属している集団の規模が小さくなる程その想定はより強固なものとなります、例えば高校生全体という集団での大学進学率は50%に満たず、大学進学というのがマイノリティーだという事実に対して往々にして盲目になりがちなのだと思います。
そして、属している集団を限りなく小さくした場合(最小値は自分一人)、家族に起こったり、実際に自分の身に起こった外れ値的な問題についてはようやく「そうした事もありえる」と気付く。父親が解雇されて突如進学できなくなり高卒で就職を余儀なくされる、等々。
また、属している集団においてなされていた想定がいきなりひっくり返るケースもあります。直下型大地震を想定していなかった阪神地域など。
この外れ値的な事象、あるいは極めて小さなマイノリティーにのみ襲い掛かる事象、これらに私達は基本的に気付きにくいようです。という事に気付けるのが本書だと思います。
この本で扱われているような大きな事件であっても、多くの一次情報は(本書で多くのインタビュイーが悪質と語る)マスコミによる悪質なフィルターを通してしか知ることができないため、大概非常に歪曲された形で知ることになります。しかしこの本の場合、村上氏という(恐らく比較的)良質なフィルターを通して知ることができる、この点に私は本書の大きな価値があると考えます。
本書において、著者はあえて各インタビュイーが事件までどんな仕事をし、生活をし、趣味を持ち、人生を歩んできたかを尋ねています。そのような一本一本の線が事件当日のある一点において交差することで当日の状況が立体的に浮かび上がります。どちらも、特に前者はマスコミにおいては切捨てられる事が多い部分です。
この各インタビューを読み進める過程を通じて、私は「外れ値的な事象」が、実は誰にも―自分にも―起こりうるということ、自分の属する集団が持つ想定がいかに脆弱かということ、そうした事を考えました。人生設計等の場面ではこのような想定はしばしば有用かとは思いますが、時々「外れ値に入る想定」にも思いをめぐらす必要があるのでしょう。
なにより、自分が外れ値になりうるという覚悟を持てば、流れる時間をもっと大切にできるのではないでしょうか。
追、インタビュアーとしての著者の力量は私程度では判断しかねますが、少なくともこの人だからこそ聞けた話もあると思います(知名度、世間イメージなど)。
多くの人は自分が将来出くわすであろう多くの事象について、自分の属する集団の[平均値]や[マジョリティーにあてはまる未来]等々に基づいた想定を(意識的or無意識的に)行っています。
例えば「日本の20代会社員男子」という集団に属する人が老後について語る時、大抵暗黙の内に70代後半~80歳前後まで生きることが想定されていますし、「進学校の高校生」という集団に属する人が進路について語る時、それは大抵<大学進学>という前提の中でどのような大学・学部を目指すかの話になります。
属している集団の規模が小さくなる程その想定はより強固なものとなります、例えば高校生全体という集団での大学進学率は50%に満たず、大学進学というのがマイノリティーだという事実に対して往々にして盲目になりがちなのだと思います。
そして、属している集団を限りなく小さくした場合(最小値は自分一人)、家族に起こったり、実際に自分の身に起こった外れ値的な問題についてはようやく「そうした事もありえる」と気付く。父親が解雇されて突如進学できなくなり高卒で就職を余儀なくされる、等々。
また、属している集団においてなされていた想定がいきなりひっくり返るケースもあります。直下型大地震を想定していなかった阪神地域など。
この外れ値的な事象、あるいは極めて小さなマイノリティーにのみ襲い掛かる事象、これらに私達は基本的に気付きにくいようです。という事に気付けるのが本書だと思います。
この本で扱われているような大きな事件であっても、多くの一次情報は(本書で多くのインタビュイーが悪質と語る)マスコミによる悪質なフィルターを通してしか知ることができないため、大概非常に歪曲された形で知ることになります。しかしこの本の場合、村上氏という(恐らく比較的)良質なフィルターを通して知ることができる、この点に私は本書の大きな価値があると考えます。
本書において、著者はあえて各インタビュイーが事件までどんな仕事をし、生活をし、趣味を持ち、人生を歩んできたかを尋ねています。そのような一本一本の線が事件当日のある一点において交差することで当日の状況が立体的に浮かび上がります。どちらも、特に前者はマスコミにおいては切捨てられる事が多い部分です。
この各インタビューを読み進める過程を通じて、私は「外れ値的な事象」が、実は誰にも―自分にも―起こりうるということ、自分の属する集団が持つ想定がいかに脆弱かということ、そうした事を考えました。人生設計等の場面ではこのような想定はしばしば有用かとは思いますが、時々「外れ値に入る想定」にも思いをめぐらす必要があるのでしょう。
なにより、自分が外れ値になりうるという覚悟を持てば、流れる時間をもっと大切にできるのではないでしょうか。
追、インタビュアーとしての著者の力量は私程度では判断しかねますが、少なくともこの人だからこそ聞けた話もあると思います(知名度、世間イメージなど)。
登録:
投稿 (Atom)