2010/07/31

人材紹介業界はブラックか?

(2016年12月に一部リライトしました)

人材紹介からインハウス人事というありがちな転職から約1年が経過しました。この間に自分自身を振り返るに十分な時間を持てたこと、および自分がクライアントサイドになって人材紹介会社と付き合うようになったことから、以前より人材紹介という仕事について客観的な視点で見れるようになったと思うので現時点で思うことをつらつらとまとまりなく書き連ねたいと思います。

(1)この業界はブラックか
とかくネット上ではブラックといったイメージでの悪評が先行している感がありますが、完全に人により会社により様々です。ただ、イメージが実態に(悪い方向で)先行し過ぎてるというのが私の印象です。

いわゆるブラック企業というのを指すにあたり、良く指摘されるポイントは、
①拘束時間が長い
②給与が安い
③雇用が不安定
④プレッシャーがきつい
といったところでしょうか。

①に関しては、公務員的な働き方ができないのは当然として、必ずしも他業界と比べて長いということはありません。大手銀行員や商社マン、飲食業、医療などは人材紹介より長時間労働をしているケースが多いです。また、基本的には個人商店型の仕事なので、一定の成果をあげていればさっさと帰れる会社も意外と多いと思いますし、本来は労働時間をセルフマネジメントしやすい仕事です。一部の大手が抱えきれない程のクライアントを任せたり、深夜にミーティング時間を設定したりしたために長時間労働のイメージが根付いてしまったものと思います。ある程度軌道にのっている会社であればかなり個々の裁量に任せていたりします。ただし、キャンディデートサイドを担当する場合、彼らの定時外に会ったり電話したりすることになるため、必然的に夜や土日に働くことになるのでその点は注意が必要です。多くの会社ではフレックスが導入されています。

②年功序列が存在する会社がほぼ皆無なので、勤続年数と比例して営業成績なりポジションなりを上げていかないと実際に薄給になります。逆に好成績を残せれば25歳で理論600万とかもありますし、1000万プレーヤーもいます。腕に自信があればフルコミの会社にいくなりすればもっと稼げます。おそらく、大手が一時大量採用し、社内競争が激化し、ポジションもうまってしまったタイミングで運悪く営業成績を残せなかった人達がかなり薄給激務で働いていたはずなので、そのイメージで語られるケースが多いように思います。
※なお年功はないと書きましたが、実際は離職率が高めなことが多いために一定年数勤続すると良いクライアントが自動的に回ってきて成績が向上し、年収があがるケースは多いです。

③これは概ねその通りかもしれません。景気変動の影響を強烈に受ける業界なのは間違いないです。ただし、基本的には人を減らせば収益性を回復できる業態なので、下手をしない限り会社自体がつぶれるケースはさほど多くありません。客観的な数値はありませんが、リーマンショックでつぶれた会社ももともと派遣等別業態を主としていて、紹介に手を出したものの撤退というパターンがかなり多かったです。なので、要は社内で評価さえ高ければ生き残れます。これは運も必要なので、結局雇用が不安定というのは多少当たっていると思いますが、最終的には腕さえ良ければいくらでも食っていけるでしょう。

④プレッシャーはやはりそれなりにあります。結果(営業成績)に対するプレッシャーと、過程(案件のハンドリング等)に分けて考えられます。結果へのプレッシャーについては私の場合(途中から開き直っていたので)あまり感じませんでした(短期で見ると成績の上下は水モノなので気にしてもしょうがない)。どちからと言えば、成績へのプレッシャー(俗にいうツメ)は聞いたフリだけしていれば良く、むしろ成績がずっと出ていないと(理由にかかわらず)周囲から「軽んじられる」ので、承認欲求の強いタイプの人はそっちの方がストレスになると思います。過程に関するプレッシャーについては、案件のまわし方について上司なり他スタッフなりから色々文句注文を付けられるので、アサーティブに、時には喧嘩も辞さないでやり取りできるタイプでないとこちらの方が苦痛かもしれません。


というわけでまとめると、私の意見としては
①拘束時間が長い→そうでもない(人による)
②給与が安い→そうでもない(人による)
③雇用が不安定→やや当たっているかも。ただ食っていけるかと雇用が不安定かどうかは別
④プレッシャーがきつい→そうだがそれをストレスと感じるかは性格による

といった感じです。

やりがいは間違いなくありますし、ネットで語られるブラックっぷりは大体実態の1.5~2倍増なので、それが理由でこの業界への就職・転職を躊躇されている方はもったいないかもしれません。